Column: Alec Soth “Gathered Leaves”

Alec Soth “Gathered Leaves” + A scenery outside the museum facing Sagami Bay.

I took a break from social media for about three weeks. After a busy few weeks, I went to see Alec Soth’s exhibition at The Museum of Modern Art (Kanagawa MoMA, Hayama).

三浦半島や城ヶ島に向かう途中、過去数えきれないほど車でその前を通り過ぎていたけれど、公共交通機関を利用してそこに向かうのは初めてだった。マグナムフォト・メンバー、アレック・ソス日本初個展、海に面したロケーション、会期中にもう一度、葉山の県立近代美術館に足を運んでしまうと思う。

写真集出版されている各シリーズも、そこに含まれる単写真の数々も、印刷物や画面を通じて何度も目にしてきた中、引き伸ばされた展示作品の圧倒的な存在感、大判8×10の解像感にはため息が漏れるほどだった。展示コンセプトやテーマはもとより、一点一点、寄っては離れて、ディテールも見られるのは展示ならではとも思う。

 

zineのように小さな展覧会図録もミュージアムショップで販売されていた。図録であっても掲載作品数は少なく、代わりにインタビューや解説などの読み物となっていた。手触りの良い紙で文庫本のように収まりが良く、帰路の東海道線でその図録を読み耽っていたら、美術館主任キュレーターからアレック・ソスへの質問の中にはドイツの画家フリードリヒの名も出てきた。

カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ (Caspar David Friedrich 1774-1840) を教えてくれたのはイギリスの翻訳家ご夫妻だった。初めて画集を手に入れたとき、欧米各国の写真家達のランドスケープに対する捉え方やフレーミングがフリードリヒのそれによく似ている気がして、現代にも通ずるルーツを発見したような驚きがあった。ソスの作品へのアプローチに、美術館キュレーターがその名を挙げて確かめたのは必然な気がする。

▶︎ 展示鑑賞ログ2022

先日、北欧の出版社からあるご提示を頂き、ひとつのゴールに向けて自分自身のシリーズを改めて見直したり、貴重な機会を通じて新たなノウハウも色々学べていけたらと思っています。

 

Column: Traditional Japanese paper Awagami

Traditional Japanese color Hanada-Iro. 日本の伝統色「深縹(こきはなだ)」と藍染めされた「保多織」

その手触りの良さと縹色に藍染めされた名刺入れを一目見て、その場で購入したのが2017年だった。その年、約30年ぶりに高松で再会した父方の親類のひとりのケイコ姉さんは昔と同じように栗林公園を案内してくれた。その敷地内の「かがわ物産館・栗林庵」で僕は初めて高松の伝統工芸「保多織」を知った。江戸時代から伝統を引き継ぐ織り元は、香川県高松市内に一軒しか現存していないらしい。幼少の頃に毎年顔を合わせていた歳の近い高松の従兄の母親は徳島県出身で、建設中だった大鳴門橋と渦潮を僕は幼少の頃に写真に写している(in Setouchi)。その徳島県の伝統工芸と言えば吉野川水系の阿波藍と現在専業一社の阿波和紙。

 

SAKURA (2022) | Printed on Murakumo Kozo Select White by Awagami Factory

「この紙を好きになった」とまるで恋に落ちたかのように徳島県のアワガミファクトリーの和紙を紹介していたのは、社会学の博士号を持つドイツのビジュアル・アーティストSandra Köstlerさんだった。社会学の勉強も兼ねて勝手に紹介すると、サンドラさんは東アジアの文化にも興味をお持ちのようで、そのポートフォリオには台湾のソーシャル・ランドスケープの他、韓国の山水画に関するリサーチベースのランドスケープ「SANSU」などがあり、ヨーロッパがロックダウンしていた期間には、元WIRED編集長・若林恵氏の書籍『さよなら未来』に登場しそうなアーカイブを利用したリサーチを行なっていた。世界各国で日々膨大に撮られるストリート写真のアーカイブから、フェイスマスクを装着している人物が写り込んでいるものを抽出、それらをヨーロッパや東アジアなどの地域毎に分類してグラフのように積み上げていく様子を動画化。フェイスマスクの装着率をビジュアル化する「A CONSTANT STREAM OF MASKS」という試みだった。直近のギャラリー展示では、サイエンス・ライターEmma Marris著『自然という幻想』を彷彿とさせるような(手つかずの自然はもはや地球上に存在しない。地球環境の変動によって動植物は大移動している。外来種を排除するのではなく人間が積極的に自然を管理することで共存の道を探るべきだという論文)テーマを表現するために南ドイツの自然保護区で撮影した自然を日本のサテン生地に印刷、それらを天井から吊るして人為的な自然界を表現するインスタレーションを行なっていたようだった(THERE IS NO SUCH THING AS NATURE)。

 

SANDS (2022) | Printed on Murakumo Kozo Select White by Awagami Factory

「鳥の子」など、北陸の越前和紙が国内ではよく知られているかもしれない。そんな中、四国の縁で阿波和紙を早速オーダーして、それをサンドラさんに報告した。「あなたの投稿を参考にして、これらを阿波和紙にプリントしてみることにしました」、「それは良い判断!この紙は本当にイイ!」。

和紙なので、伝統的な和紙工芸のように裏側から光を透過させる演出など、展示用のみならずインテリアにもどうかなと思う。いずれはアワガミファクトリーのプリントラボにいくつか印刷依頼させて頂ければと思いつつ、あるいは超短編シリーズとして和紙でzineを製本化なども試みてみたいと思った。

▶︎ Awagami Visiting Artist Program (Japanese / English)

 

Column: Incandescent zine

One of my favorite zine ‘Incandescent’. It is curated and produced in Portland, Oregon by Pine Island Press. I made some videos of Incandescent (Issue 7, 10, 12, 16, and 17). Check out my YouTube playlist or Vimeo showcase. Thank you for the permission, founder Helen Jones. I hope Incandescent continues.

昨年掲載されたアメリカ・ポートランドのIncandescent zine。休刊と一年後の再開に向けたアナウンスを読んで、創始者Helenさんから許諾を得て、これまでに刊行されたものの中から手元の5冊を動画化、ビデオ・アーカイブを作ってみました(上記サムネイルをクリックすると動画ファイルが切り替わります)。

 

2011年、マサチューセッツ芸術大学出身のHelen Jonesさん等がアメリカ・ポートランドでインディペンデント・パブリッシャーPine Island Pressを創設。年二回刊行されるPhotography zine Incandescentは、掲載作家作品の他にも毎号招聘される序文のライターやアメリカらしいタイポグラフィ、パイナップルの形をした島のロゴもポイントで、サブミッション・フィーを取らずスポンサー広告収入も得ず、時にはアートブックフェアに出展しながら、あくまでもzineの売上を次号の制作費に充当する運営を貫かれていました。10年間で約50ヵ国350名を掲載、日本人掲載者は3名で、そのうち1名はギャラリー契約作家だったと思います。

▶︎ Incandescent will be taking a hiatus,

「10年間で印刷コストは倍になりました」という箇所から、パブリッシャーの立場ではありませんが、書籍化におけるサステイナビリティ(持続可能性)をアメリカの助成金以外で自分も少し考えてみたいとも思いました。YouTubeVimeoに置いた動画は、ワールドワイドに開かれている文化のひとつをシェア出来たらという思いと、ソールド・アウトになった場合は入手出来ないので、そのためのアーカイブのつもりです。ソロではなくアンソロジー形式の冊子ですが、アートブックショップのオーナー様などもチェックして頂けたらと心の内で願いつつ。

*発行部数は毎号約200〜250部。初期のものはソールド・アウト、Issue 10+12はalmost sold out!とのことです。

 

▼ 掲載者一部紹介 | Representative contributors
Issue 7: オランダ | In a clearing | のかつての創始者のひとりJordi Huisman、他。 Issue 10: スペインのJM Ramírez-Suassi写真集「One Eyed Ulysses」刊行前に掲載、他。Issue 12: シカゴのフォトジャーナリストJ.Daniel Hud、ドイツ出身の写真家兼デザイナーJens Windolf、他。Issue 16: NYのGoldenrod Editions創始者Roslyn JuliaIn Conversation Withの創始者でロンドン芸術大学出身のドキュメンタリー・フォトグラファーMichaela Nagyidaiová、他。Issue 17: Anywhere Blvdの創始者・南カリフォルニアのRhombie Sandoval、僕の「LITE」から一枚など。

 

at Yamanote Photographic

My photography prints + Wood frame sample at Yamanote Photographic. Yamanote Photographic is an ILFORD certified print lab in Japan. I got some advice about inkjet print from printing director.

緊急事態宣言が開けてすぐ、事前にアポイントメントをとった上で、東京・東神田のプリントラボ・山ノ手写真製作所にお伺いしました。額装やブックマットに関するアドバイスを頂きました。日頃、中判カラー・ネガフィルム現像でお世話になっているプロラボ・写真弘社と同じ建物内です。

今年2月、裁断機とA3+インクジェット・プリンターを自宅に導入しました。昨年からのコロナ禍と、暗室などが営業自粛されていた状況もあって自宅内インクジェット・プリントを始めたものの、インクジェットはカラーよりも白黒の方が圧倒的に難しいと感じていて、暗室で手焼きしたプリントと見比べながら試行錯誤を繰り返しています。山ノ手写真製作所でカラーと白黒のプリントのチェックもして頂けたのは本当に良い体験となりました。

*プリント制作やプリント販売に関するコラムをつづきに書きました。

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Column: Group zine


「zineというものを知っている?」。13年前の2008年、印刷出版大手に勤務する友人からそう聞かれたとき、「ジン」という言葉はまだ身の回りでは聞き慣れないものだったように思います。当時その友人と都心をぶらつき、僕は林央子さんによる「here and there」という本をブックショップで手に取りました。ホンマタカシさんなどが参加されていて、それは写真に特化したものではなく様々な記事が収められているアート誌、グラフィックデザイナーによる先鋭的な試みなども形にしているインディあるいはzineならではの刊行物でした。

 

*Video: Goldenrod Editions (New York) first group zine issue 01

当時もうひとつ、写真に特化した「All things ordinary」というアメリカL.Aのグループzineを購入。それは当時、世界的流行でもあったガーリーカルチャーに沿ったキュレーション傾向でしたが、表紙写真と掲載アーティストのクレジットにはBryan Schutmaatの名もありました。

グループとは、チームやメイトとは少し違って、コンセプトを基に選りすぐる枠。欧米各国のグループzineは、毎号世界中から作品を公募して、その都度選考した作家作品を紹介するもの。日本のグループのようにいつも同じ顔ぶれということはありません。グループzineの楽しいところは、ページを捲りながらこの作品良いなと新たな作家を知るきっかけになったり、知る人ぞ知る作家がここに!と発見できたりすることです。きっと、常に新しいアーティストを探しているキュレーターやエディタなども購買層に含まれているのではないかなと想像します。いずれにせよ、アメリカ発祥のzineというメディアの特徴は、雑誌のように広告収入を得ておらず、商業目的ではないところで、そうしたインディの文化を支えているもののひとつは、日本にはない国からの助成金かもしれません。

ちなみに、海外のあるイラストレーターが、大きな「Magazine」、中くらいの「zine」、小さな「ne」とユーモラスにイラスト化していたのがちょっと面白かったです。

 

Column: HIDDEN HISTORIES exhibition by ICW

In Conversation Withが創設されて間もなく、全世界はコロナウィルスによるパンデミックに突入し、欧米の街は軒並みロックダウンされました。その直後、全世界の写真家達とビデオ会議を始めて、各国の写真家達との対談やポートフォリオをオンラインでシェアし始めたのがICWの創始者Michaela NagyidaiováKristina Sergeevaでした。ICWの名称は(In conversation with 〜との対談)、コロナ禍の制約の中、オンラインの活用でより柔軟な発想を持ち合わせたように僕には感じられました。

ICW創始者二名が個々に制作しているドキュメンタリー・シリーズ、そこに内包されている要素をワードとして抽出し、それを公募のテーマにして、世界中の写真家達とコラボレーションを始めたところにも僕はすぐに興味を持ちました。その特定ワードに基づく様々な見解や新たに知り得た各国の歴史などを共有、学びの場にしているところがユニークで、まるで美大の通信教育部のような面白い試みにも思えました。それを彼女達は「ビジュアル・ディスカッション」と呼んでいます。

 

ICWの公募は、Family Spaces、Getting By、そしてHidden Historiesで三回目。今回は9つの国から15名の写真家達が参加した展示となりました。バーチャル・リアリティを用いた展示は初の試みです。ロックダウンされていた欧米各国の状況とコロナ対策、世界中の写真家達との国境を越えたコラボレーション、新たな体験や鑑賞方法など、バーチャル・リアリティを用いた経緯はその他にも、VRプラットフォームやアプリ、デバイス面も整った現在の時代的背景もあるかもしれません。もしもこの展示が現実空間で行なわれていたら、相当に大きなギャラリースペースが必要になるので、それはまるで言葉のあやのように現実的ではないかもしれません。僕にとっては日本にかつて存在した国境のひとつBorderlandシリーズで、ボーダーレスな企画に参加出来たことを心から感謝したいと思います。アイデアを次々と形にしていくICWの五年後、十年後が楽しみです。

 

ICW創始者の言葉が以下のサイトでも紹介されたようです。彼女達の母校、ロンドン芸術大学のPost-Grad Communityと、美大生や卒業生の新進気鋭アーティストを紹介するプラットフォームThe Pupil Sphere。今回のオンライン展示「Hidden Histories」のことが語られています。

▶︎ ual | Post-Grad Community
▶︎ The Pupil Sphere

 

Column: Covid Pictures

欧米各国がロックダウンされて以降、イタリアのある写真家はケミカルを取り寄せてC-41カラーネガフィルムの自家現像を始めた。C-41の自家現像なんてすごいね!とメッセージを送ったら、前からやってるんだけど今は家から出られないから丁度良いと思って、と返答があった。2008年頃に自分もC-41自家現像をしていたので、ISO感度に関係なく高温処理で3分15秒というのを思い出して懐かしくなった。アメリカ・ニューヨークのネイチャーを愛する女性写真家は、家の窓から見える景色をスマートフォンで録画してインスタグラムのストーリーに動画投稿していた。美しい風景、安全に過ごして、とメッセージを送ったら即返答があり、直後に静止画をフィードに投稿していた。しばらくこんな投稿が続くかも?と書き添えてあった。コロナウィルスによるパンデミック。ロックダウンされた不可抗力な状況下でも彼らは今しか出来ないことを共有していると思った。

 

Aint-Bad Magazineのエディタだったアメリカ・オレゴン州のJennifer Timmer Trailさんが、パンデミック下にある世界中の写真をアーカイブしようというプロジェクト、Covid Picturesを創設されました。ジェニファーさんに主旨を尋ねた際、このような返答を頂きました。「私は9.11アメリカ同時多発テロ発生時にニューヨークにいました。あのとき、あらゆる写真を収集している機関があったことを思い出したのです。パンデミックが発生したとき、そこに意義があると思いました。そして私は3.11東日本大震災のこともよく覚えています。日本の友人の葬儀に行きたかったけれど行くことが出来なかったの!」。

アーカイブとは何か、もう一度考えてみました。卒業アルバムの最終ページに添えられた年表のように、ずっと先の将来で歴史を見返すのに役立つものかもしれないし、ニュース素材のために報道機関が適するものを抽出するためのプールかもしれない。学者や研究者がリサーチに用いるものかもしれず、その際に国や人種などの特定条件でデータ(写真)を抽出したり、あるいはキュレーターやエディタがアーカイブから作品選考して展示や本にするなど。アーカイブ作りに参加することは社会貢献にもなる気がして、特にコロナは日本だけの固有の状況ではないので、世界を対象にしたCovid Picturesに参加しようと自分は思いました。後年、そのアーカイブを客観的に見られるようになることを願いつつ。

2020年3月29日、桜が咲く中で珍しく雪が降った日、世代は異なりますが自分と同じ誕生日の志村けんさんがコロナウィルスによって他界されました | Spring snow (Mar.29.2020) from the series “Wintertag” | Covid Pictures Archive 1-250