Contemporary B&W photography

Flutter-Flutter” by Yudai Ninomiya. His work won the Juror’s Picks at the lensculture B&W Photography Awards 2022. Congrats! I received a message from him.

宮城県の写真作家・二宮雄大さんのシリーズ作品「Flutter-Flutter」がlenscultureB&W Photography Awards 2022で審査員賞を受賞された旨のご連絡をご本人様より頂き、貴重な交流に感謝を込めて白黒写真に関する覚書を。雄大さんの作品とステートメントはリンクから是非ご参照ください。

雄大さんからのメッセージには白黒写真によるコンペティションへの応募総数と応募者の国籍(世界の3/4の国々の人達が白黒写真の公募にアクセスしたこと)に関して、現代における白黒写真の可能性がポジティブに触れられていた。見識や見解が浅く厚かましさを承知の上で、この二年ほど僕も新たな潮流のようなものを感じていた。一例として、以前雄大さんからお教え頂いたギリシャの出版社Void Photo(後述)、僕からはイギリスのValentine EditionsとそのディレクターChristine Marie Serchiaさんが昨年ブリストルにオープンしたSerchia Galleryを挙げたいと思う。共通のキーは、トラディショナルやノスタルジーよりもモダンあるいはタイムレスでコンセプチュアル… と、中途半端な言語化は避けた方が良いかもしれないけれど、それらを片っ端からチェックしていくことが近年の楽しみのひとつだった。

 

Flutter-Flutter” by Yudai Ninomiya.

雄大さんからVoid Photoの素晴らしい写真集、Dylan Hausthor & Paul Guilmothの「Sleep Creek」をお教え頂いた。Void PhotoからはオーストラリアのWouter Van de Voordeの写真集「Death is not here」も先頃刊行され(2019年、Wouter Van de Voorde氏と僕は同じタイミングでフランスのPhases Magazineに掲載された)、その他にも、Splash & Grab Magazineのエディタを務めていたOval Pressの創始者Max Fergusonの「Whisting for owls」もカラー写真混在ながらとても良いと思うし、ドイツHartmann Booksから刊行されたイタリアの巨匠Guido Guidiとスウェーデンの巨匠Gerry Johanssonによる写真集「Verso Nord」もウィッシュリストには入れている。オルタナティブな作品制作ではSara Silksの名も挙げておきたい。新進気鋭のアーティストによるVoid Photoの写真集の数々が白黒写真であることや、Valentine Editionsのキュレーション傾向も主に白黒写真、雄大さんの受賞作品も他ならず、現代白黒写真のコンセプチュアルな表現のバリエーションは今改めて見応えがあると思う。

 

AFAF 2022 + Loop House 101

自宅に届いていた二つのイベント案内
Information about their exhibitions received in the last few months.

◼️ Toshiyuki Nanjo & HRD Fine Art – Art Fair Asia Fukuoka 2022. Sep.30 – Oct.03

アートフェアアジア福岡2022のフライヤーには「ホテルオークラ HRD+ONWブースです」と付箋が貼られていた。初めてポートフォリオ・レビューを受けた2010年、レビュワーのお一人だったある編集長は言った。「今度こんなイベントがあるから、来てみては」。当時そのイベントには足を運べなかったけれど、その講演の壇上に立たれていたお一人が神奈川県の写真作家・南條敏之さんだった。昨年一月、南條さんは写真集「Shelterbelt」を京都のギャラリーHRD Fine Artからご出版された。客観的に捉えられた日本各地の海岸砂防林の光景を通じて、日本人の自然観、あるいは環境学や歴史などの側面から考察を促すようなリサーチベースの現代風景シリーズとなっている。平塚の砂浜はかつては砂丘だったとお教え頂いたのも南條さんだった。

◼️ Shoichi Ito’s exhibition at Loop House 101. Nov.13 – Nov.20

個展会場となる島根県松江市のLOOP HOUSEを設計した建築デザイナーによる序文「波打ち際の平面」が同封されていた。今年三月に東京新宿の蒼穹舎で開かれた「迷鳥」の展示に僕は足を運んでいるけれど、そのシリーズで伊藤さんの心象が込められた場所は山陰。建築デザインとのコラボレーションも改めて現地で体感してみたい気がした。ミニマリズム文学の名手と呼ばれるレイモンド・カーヴァーの短編小説集「愛について語るときに我々の語ること」のオリジナル原稿を50%以上も削ぎ落としたのはエディタのゴードン・リッシュだった。それは特殊な例かもしれないけれど、こと写真集出版に至るプロセスについて、様々なご教示を頂いたお一人が鳥取県の写真作家・伊藤昭一さんだった。

すでに会期中、または会期を過ぎてしまって、ご紹介が遅れてしまい大変恐縮です。
I am currently on hiatus, sorry.