Noto Peninsula Earthquake Fundraising

A charity print by Yukihito Kono -san that I have hanging on the wall of my house. He is a photographer/graduated from LCC (UAL) artist based in Kanazawa, Ishikawa prefecture, Japan, and the founder of IACK. On 1 January 2024, a M7.6 earthquake, located on the Noto Peninsula of Ishikawa prefecture, Japan. Please see below for details on the charity print sale.

▶︎ IACK.online

能登半島地震災害支援/金沢IACKのチャリティー・プリント販売を利用して、IACK代表、写真家・河野幸人さんのプリント作品を購入させて頂きました。額装時に久々にマットボードを使用(1mm厚)。エディションや売上金の寄付先は上記ウェブサイトに記載されています。被災された方々の安全と被災地の一日でも早い復興をお祈り申し上げます。

 

Moon ↑

 

Postcards for Palestine

▶︎ Postcards for Palestine
Organized by founder Peter Watkins
Graphic design by Sharp Objects

Fundraising exhibition
December 12th, Berlinskej Model Gallery in Prague
December 14th-16th, Claire de Rouen Books in London
+1 Day. December 17th, Claire de Rouen Books in London
The signed postcard-sized artworks will be available for the flat rate of 20 EUR / 20 GBP.

1000+ Artists
Federico Clavarino, Jim Goldberg, Dylan Hausthor, Katrin Koenning, Michael Lange, Mark Power, Simon Roberts, Isaiah Winters and more

12月12日にプラハのギャラリーで、14日から16日にはロンドンのアートブックショップ、クレア・ド・ローエンで(1日追加、17日まで)パレスチナ人道支援募金展が開催されます。展示販売されるポストカードサイズの作品の収益はPalestine Children’s Relief Fund国連パレスチナ難民救済事業機関に寄付されます。40ヶ国、1,000名を超える参加者には上記のような欧米各国の著名写真家達も含まれることがアナウンスされています。

 

12月20日追記: 僕も参加登録していた中、ウクライナ情勢もあって主催者拠点の中央ヨーロッパへの郵送が大幅に遅延していると局員さんから聞いていました。無事に届いたようで、会期中プラハのギャラリーに行ってくれた人、(ロンドンの)棚でそれらのひとつを見た、素晴らしいと言ってくれた人、イベントに携わったすべてのスタッフに感謝。1日3時間、プラハとロンドンの計5日間で、9,000EUR(現在のレートで1,410,000円)以上の収益があったと発表がありました。

1, 3: SAKURA
2: The Big Dipper パレスチナの人々が一日も早く空を見上げられることを願う
ILFORD imaging GALERIE Gold Fibre Pearl 290 gsm
105mm × 148mm Signed on reverse side

A roundup of charity print sales in support of Gaza
▶︎ British Journal of Photography

 

Angels Point by Adam Ianniello

Angels Point Exhibition | L.A. based artist Adam Ianniello
Hosted by Takashi Kato (Ensemble Magazine)

会期中、一度目の訪問のあと、テラススクエア・フォトのホストを務められている加藤孝司さんから「アダムのことをいつ頃に知ったのですか?」というようなメッセージを頂き、「アダムさんが創設したSmog Pressを知ったときなので、一年くらい前だったと思います」とお答えしたように思うのだけれど、Brian McSwain氏の写真集がリリースされた頃なので、本当は二年前だったかもしれない。アダムさんに「もう一度、あなたの展示を見に行くかもしれない」と伝えたら、「カムオン、11月17日の最終日には日本にいるよ」とアダムさんから返答を頂いた。

Wildernessとアダムさんは言って、ある作品の前に立った。「これを見てほしい。奥の山と子供たちがブランコで遊ぶ手前の山は自然、その谷間に広がるのはHouses」。「ネイチャーとアーバン・スペース、ウィルダネスとアーティフィシャル、こっちにはエクスプレスウェイ」と僕は言った。「片側五車線だよ」とアダムさんは言った。Angels Pointから見渡す景色はHistory of Los Angelesなのだ。語学力の無さと筆談が良い気がして、僕はグーグル翻訳アプリに言葉を入力した。こうしたパブリック・スペースでの展示はとても良いと思う、日本はアートが日常には浸透していないように思うから。ロビーを見渡しながら深く頷いたアダムさんも翻訳アプリに言葉を打ち込んだ。屋外の公園で展示をしたことがある、それもすごくよかったんだよ。

 

Photobook Angels Point | Published by GOST Books

商業コマーシャル以外で日本で公共空間を利用するには大規模アートイベントなどでなければ行政の許可が降りなかったり、国からの助成金が得られないなどの制約が色々あるのかもしれない。そうした中でテラススクエア・フォトのような東京のオフィスビルのエントランスを利用した展示企画はとてもユニークで、そのロビーを行き交う人々の背後に佇む展示作品を遠巻きに眺めながら、これはいいのだと思った。

ところで、と僕はiPadに古い写真を表示した。彼、誰かわかる? 首を捻ったアダムさんに僕はある音楽を流した。ワオ、トト!とアダムさんは言った。これは1999年、若い僕の隣にいるのはロサンゼルスのもうひとりのヒーロー、スティーヴ・ルカサーだよ。

Portrait: PLAUBEL makina 67 / ILFORD HP5 PLUS / Self-development: Fujifilm Microfine developer (20℃ 8’30”) + ILFORD Rapid Fixer. November 17 2023

 

HANDS | Ways of Seeing

Valentine Editions「HANDS」の公募の主旨にはひとこと「To touch is be touched」と記されている。そんな中、今年の春、四方幸子先生の著書『Ecosophic Art』をストーリーズに投稿したとき、ドイツの社会学博士号のビジュアルアーティストSandra Köstlerさんが、ジェームズ・ブライドルの本『Ways of Being: Animals, Plants, Machines: The Search for a Planetary Intelligence』を取り上げて反応してくれたことがあった。どちらの本も人新世と呼ばれる現代と未来における自然界と人間の在り方、後者はそれらとAIとの関わりが書かれているはず。Valentine Editionsのソーシャルアカウントから共同投稿された上図の僕の写真に、サンドラさんとサンドラさんのワークショップThe Space Labがリアクションを示してくれていたのはきっと、Ways of Seeingで、おおまかに人と植物についてイメージしてくれたのだろうなと勝手に想像。

以前の「ROCK」のように、将来「HANDS」は紙媒体化されてブックフェアなどに出展されるだろう。僕のはそれには含まれないかもしれない。Valentine Editionsキュレーターのクリスティーン (Christine Serchia) さんには、この写真はカラーフィルムの現像時にローラーの痕が残った低クオリティの古いスキャン画像を白黒変換したもので、むしろノイズを乗せることを考えたとお伝えしていた。クリスティーンさんからは別途「私たちにとって最も重要な関係性に関するデザインワーク」と謳うアカウントからフォローして頂いた。

▶︎ Instagram @valentineeditions
▶︎ UK-based independent publisher Valentine Editions
Curated by Christine Marie Serchia (Curator of Valentine Editions. Director of SERCHIA Gallery)

 

What Makes a Lake? Tracing Movement

Published by Vermont, US and Toronto, Canada based independent publisher Another Earth.
Curated and Edited by Abbey Meaker, Estefania Puerta and Cristian Ordóñez.
Designed by Cristian Ordóñez and Abbey Meaker.

180ページのボリューム、四つ切よりひとまわり大きなサイズ。タイポグラフィ (*) を含むパッケージと本のレイアウトデザインは、ニューヨークMoMAをはじめ複数の美術館に作品収蔵実績があるチリ出身・カナダ拠点の写真家でグラフィックデザイナーのCristian Ordóñez氏によるものです。表紙に選ばれたFeiyi Wenさんは、以前にも記したイギリス・ブリストルのコマーシャルギャラリーSERCHIA Galleryにこの後に招待+展示されたようです。日本からは僕の作品、氷結した山中湖とその環境に関するテキストがうしろの方に掲載されています。
本の主旨と説明はこちら ▶︎ 過去記事 #1, #2

Artists: Maalik Abdul-Rahim, Gaspar Abrilot, Gabriela Alvarez, Andy Becker, Tal Ben Avi, Casey Bennett, Ali Beşikçi, Koan Brink, Alix Breda, Kelly Burgess, Frances Cannon, Madeline Cass, Zen Cohen, Kristie Cornell, Ben Currotto, Giuseppe De Santis, Adam DeSorbo, J Taran Diamond, Ross Doree, Peter Dubinski, Laura Duval, Richelle Forsey, Andrew Frost, Matina Galati, Roman Gioglio, Grace Glynn, Renee Greenlee, Tülin Gündoğdu, Beihua Guo, Ke Huang, Julie F Hill, Justine Highsmith, Anne Immelé, Ian Thomas Jansen-Lonnquist, Hua Jin, Caitlin Lorraine Johnson, Phoenix Kanada, Laura Kiernan, Cassandra Klos, Kalie Krause, C.E. La Dolce, Macaulay Lerman, Victoria Maidstone, Andrea Martínez, Benjamin Mayock, Pierre Mohamed-Petit, Zaynab Mortada, Kasia Murfet, Tommy Nease, Masato Ninomiya, Kelley O’Leary, Steve Olsen, Charles-Frederick Ouellet, Ahmed Ozsever, Robert Pallesen, Jasmine Parsia, Sarah Phenix, Duy Phuong, Ilaria Pisoni, Zach Pollakoff, Jared Ragland, Will Ritson, Matt Ross, Anna Rotty, Jordan Rowell, Will Sharp, Saar Shemesh, Kate Schneider, Fiona Segadaes Da Silva, Stefanie Schaut, Yonatan Schechner, Jackson Smith, William Mark Sommer, Todd Stewart, Brian St. Denis, Michael Sundue, Lily Consuelo Saporta Tagiuri, Camila Valdés, Maxim Voloshin, Ryan Walker, Alyssa Warren, Feiyi Wen, Janice Wong, Andrew Zawacki, Mary Zompetti

180 pages / 9.25 x 12.5 inches / Unbound / Contained in cardboard box (Tote bag optional)
▶︎ $45 Sold out / First Edition of 150 copies
This publication was supported by the Burlington City Arts Community Fund Grant.
© 2023 Another Earth publisher and the artists.

*Lake, River, Land, Rain, Ice, Waterなどテーマに基づく単語のみ、文中のタイプフェイスを変えている演出もあり。

 

100 years since the Great Kanto Earthquake

Eitai Bridge | 1926 – Present | Hakozaki, Tokyo

2023年9月1日、関東大震災から百年。
2000年代の始めまでの約七年間、当時子会社から出向していた親会社は、今も東京箱崎の永代橋の袂に建つ外資系IT企業だった。つい先頃になって、両親宅で高齢の母から思いもよらぬことを聞いた。関東大震災のときに、難を逃れるために祖父が身ひとつで隅田川へ飛び込んだ場所は永代橋の袂だったと言う。箱崎周辺は故郷のように心落ち着く場所で、今も年に一度は永代橋に行き、隅田川を行き交う船と河岸に建つかつての勤務先ビルを眺める。永代橋から佃島のタワーマンション群や月島方面を眺めたときに左手に見える相生橋は、戦時中の難を逃れるために祖父が再び隅田川へ飛び込んだ場所らしい。いずれの橋も震災や戦火で倒壊し、のちに再建されている。高松から単身上京した父との馴れ初めの場所は駒形橋、と母は言った。

 

Left: Mother + A map of traditional areas of Tokyo along the Sumida River. Right: Komagata Bridge | 1927 – Present | Asakusa, Tokyo.

人種差別をしない人だったのよ、と母は祖父を回想していた。近所に暮らしていた台湾人や韓国人、その子供達を祖父は可愛がったらしい。その時代、祖父のような人は生きづらかったと思う。大震災の直後、旧日本軍によって朝鮮人虐殺事件が起きた。戦時中には国家の指針に沿わない反戦主義者も「アカ」と呼ばれて収監された。壺井栄『二十四の瞳』、江馬修『羊の怒る時』、髙橋健太郎さんの写真集『A RED HAT』などでそれを伺い知ることが出来る。なまじっか僕の社会人としての出発点は外資系だったので(所属部門のクライアントは常に国内企業で語学力は不問だった)年功序列や保守的思想よりも、個々にユニーク(独自性)であることを尊重するグローバルの価値観や祖父の思想に共感する。祖父はイキな人だったのかな?と僕は母に訊いた。イナセな人ね、と深川出身の母は佃節のように言った。粋な深川(芸者)、鯔背な神田(職人)、人の悪いは麹町(大名屋敷やお侍)。

ただでさえ歳をとったら不潔に見えるのだから、年齢を重ねたらパリッとした白いシャツを着た方がいい、と祖父は五十代で言ったらしい。なかなかに良いことを言うなと思った。その当時の祖父と同年代に差し掛かった自分が白シャツを着こなすのはそこそこ難しく感じるけれど、村上春樹の小説に登場するようなスタイリッシュな中年男を目指すのも悪くはないかもしれない。いずれにせよ体型維持を怠ってはどちらも難しいのだ。

 

Ecosophy + Social sculpture

What Makes a Lake? Tracing Movement” by Another Earth. Félix Guattari’s notion of ‘ecosophy’ (ecology + philosophy) and Joseph Beuys’s notion of ‘social sculpture’. It seemed to me that the aims of “What Makes a Lake? Tracing Movement” overlapped with these philosophies.

「この本どう思う?」。四月頃、アメリカとカナダ拠点のインディペンデント・パブリッシャーAnother Earthから『What Makes a Lake? Tracing Movement』の掲載者に向けてPDF原稿が配布されたとき、ケンタッキー州在住の写真家Kalie KrauseさんからDMを貰った。「ちょっとすごいと思わない? 私、びっくりしたんだけど」。「完全に同意する」と僕は返信した。その頃、メディアアートのキュレーター/批評家、多摩美術大学・東京造形大学客員教授、武蔵野美術大学・情報科学芸術大学院大学非常勤講師、四方幸子先生の書籍『Ecosophic Art』が出版されて、僕はそれを読み耽っていた。フランスの哲学者フェリックス・ガタリが提唱したEcosophy (Ecology + Philosophy)、ドイツのアーティストで思想家ヨーゼフ・ボイスが提唱した社会彫刻、四方先生が提起されている環境的無意識と情報フローの概念も『What Makes a Lake?』の主旨に多少重なり合う気がした。Kalieさんの返信に僕は付け加えた。「プロジェクトの主旨、掲載者達、ブックデザイン、編集、それと意義あるリサーチ。まるで皆がそれぞれの国でフィールドワークしたみたいだ」。「Completely!!」とKalieさんは言った。「すべての水辺が繋がってる。私もこのコレクションには意義があると思うの!」

 

Ecosophic Art” by media art curator / critic Yukiko Shikata. Her concepts of ‘environmental unconsciousness’ and ‘information flow’. I shared the PDF of “What Makes a Lake?” with Professor Yukiko Shikata via Kayoko Isobe-san, the director of iwao gallery.

『What Makes a Lake?』はあくまで冊子媒体で、インタラクティブ・アートなどではないけれど、東京蔵前のコマーシャルギャラリーiwao galleryの磯辺加代子さんを通じて、そのPDF原稿を四方先生にシェアして頂きました(磯辺さんと、事例を含めてご返信を頂いた四方先生に感謝申し上げます)。Another Earthチームからも、ガタリやボイスの思想を絡めて「私たちがこのプラットフォームに取り組み、アーティストとコラボレーションしている主な理由のひとつです」との回答を頂いた(Richard Erdman Studiosのディレクターでもある創始者Abbey Meakerさんは文化人類学や自然環境に関するリサーチをArtist Fieldで、Another Earthはその出版部門として運営されている)。近年、日本のビジネス界でもSDGsやサステイナビリティが謳われる中、先述の思想や概念は地球規模で捉えるところからブレイクダウンすることで意義が生まれるとも思うので、環境問題についての考察を国境を跨いだアートの分野から社会に促す手法は理にかなっているように思えるし、このようなプロジェクトは未来に向けた社会貢献にもつながるのではないかなと少なからず期待する (*)。

*日本の同様なプラットフォームで思い浮かべるのは「自然との共生」をテーマに、彫刻、文芸、絵画、写真、ビデオアート他、全世界からアーティストをキュレーションしているロンドン芸術大学ご出身で名古屋拠点の澤田奈々さんとエリオット・ヘイグ氏によるThe Liminal Voice

 

Eggs and Asparagus / Hereafter

Hereafter by Federico Clavarino. Skinnerboox, 2019
Eggs And Asparagus by Marcello Galvani. Skinnerboox, 2017

Eggs And Asparagus』というタイトルからは食卓や団欒、ページを捲っていくと特定地区の日常や風習を写しとったフォトストーリーに感じられる。2019年のブックフェアの会場でIACK河野さんから「ここに売り物として持ってきたものではないのですが」とこっそりお見せ頂いたのがマルセロ・ガルバーニの写真集だった。大判8×10、あるいは中判6×7を思わせるその縦横比率と作画は、まるでアメリカのスティーブン・ショアのようで、所々はイタリアのグイド・グイディのようで、しっとりとした色味はルイジ・ギッリのようだった。三者(四者?)をいっぺんに味わえるようなその写真集の後日のオーダーをお約束して、ある写真家への個人的なお礼の品に当時もう一冊オーダーさせて頂いた。本をお送りした方からは、のちにそのお礼にと同じイタリアの写真家フェデリコ・クラヴァリーノの『Hereafter』がIACK経由で送られてきたのだった。

 

Hereafter』を手にとると、間接的に色々と教わった(と僕が勝手に感じている)ある人を思い浮かべる。Roots、History、Family Archive、自身のアイデンティティにも紐づくようなそれらの言葉をよく用いていたのは、ロンドン芸術大学でMA (Master of Arts) in journalismの修士号を取得しているスロヴァキアの写真家Michaela Nagyidaiováだった。狭義では、演出していないものをドキュメンタリー写真と呼ぶかもしれないけれど、組写真で構成するものには(過去を写せない写真では)事実の事象のモチーフとなる史料、地図や手紙、生前撮られた写真などを引用したりコラージュすることもあるかもしれない。ある時期、彼女のシリーズを度々目にして(*)、彼女のZINE『Revisiting the Roots』を一冊郵送してもらい、数年前には彼女が創設したプラットフォームの公募とそのオンライン展示「Hidden Histories」に僕も参加した。フェデリコ・クラヴァリーノの『Hereafter』にも先に挙げたキーのいずれか、あるいはすべてが内包されている。

二冊の内容についてはIACKのサイト(文中のリンク)で解説されている。今更ながらも読書メーターには登録出来ない一部の写真集購読ログとして。 [book review]

*彼女の名前のイニシャルは僕と同じなので、アルファベット順で表記されるコンペティションや公募の選出者リストで隣り合うことがあった。

 

Der Sonnenstich by Katinka Bock

Der Sonnenstich by Katinka Bock. Roma Publications, 2023

フォーム(形、形態、Form)を示唆しているのかなと想像しながらページを捲って、これは家に置いておこうと購入したのは、ドイツの彫刻家カティンカ・ボックの写真集。白黒写真主体の写真集はミニマリズムの画家エルズワース・ケリーなど、写真家ではないアーティストのものしか今の僕は所有していない。

ここ数年、メニエール病が再発さえしなければ、Post ClassicalとかNu-Jazzあたりの音楽を聴いているのだけれど、ポーランドのピアニストHania Raniの、まるでアートブックのような楽譜(Esja / Home)を知ったとき、書棚に飾ったり、観賞用の本としてコレクションしたいと思った。この写真集の購入動機もほぼ同じだった。以前、スウェーデンの出版社エディタが、私は薄くて美しい本が好きだ、と仰っていた。ハードカバーでボリュームのないものをうまく想像出来なかったけれど、美しさとは詰め込むことよりも省くことかもしれない。この写真集の装丁には作家名とタイトルしかなく、下地とほぼ同色のデボス(凹)加工となっている。光の加減によってはその文字は消失し、白いテーブルにこの本を置くと、薄くて平らなプライウッドのように見える。美術館の白い部屋に積み重ねられていたら、遠目には本とは気づかず彫刻と見紛うかもしれない。そんな佇まいに、不思議と親しみやすさすら覚える。極めてシンプルな美しさを持つハードカバーの本には初めて巡りあったような気もする。

Photographを日本語訳すると、写真ではなく光画であると何かの本で読んだ気がする。この本のドイツ語タイトル『Der Sonnenstich』は「日射病」らしい。「Sonne」と「stich」で「太陽の棘」。購入したショップとは異なるけれど、この本の刊行の経緯と内容は金沢IACKのサイトで解説されている。

 

 

What Makes a Lake? by Another Earth

 

I’m honored to be part of this beautiful publication “What Makes a Lake? Tracing Movement” by Another Earth. My photographs and text about Lake Yamanaka in the Fuji Five Lakes has been featured in this book. Thank you so much for including my work.

What Makes a Lake? Tracing Movement brings together the work of more than 80 artists to create a portrait of Earth’ lakes, rivers, and oceans. This collection of images and text offers an intimate experience of places that we hope create a new connection to and commitment for caring for our most vulnerable ecosystems. In exploring an expanded scope of lakes around many different communities, we see how all these bodies of water are not isolated but rather flowing in and out of one another, reminding us how much our impact ripples out. What changes can be made with new awareness? (via Another Earth website)

Available for preorder Sold out ▶︎ Another Earth “Books”
First edition of 150 copies. US$45 + Shipping fee.

Another Earth is an independent publisher based in Vermont, US and Toronto, Canada.
Founders: Abbey Meaker, Cristian Ordóñez, and Estefania Puerta.
This publication was supported by the Burlington City Arts Community Fund Grant.

 

都市から郊外への人口流出や気候変動の影響を受けている自然界。地殻変動の歴史が刻まれている湖とその川、そこに住まう生態系などに焦点を当て、地球規模で様々な考察を促すAnother Earthのプロジェクト「What Makes a Lake? Tracing Movement」。その本に「Wintertag」シリーズの舞台でもある地元を流れる相模川の源流、山中湖に関する写真とテキストが選出されました。

アカデミックなテーマでリサーチベースのプロジェクトが多くを占める印象もある欧米ファインアート界の方達で今回個人的に目に留まったのは、フランスのアートスクール講師でキュレーター、ビエンナーレのアートディレクターで写真家でもあるPh.D. Anne Immeléさんが選出されていたことです。Black Flower Publishingの創始者Will Sharp、Too Tired ProjectのディレクターKelly Burgess、その他にもCasey BennettKate SchneiderGiuseppe De SantisKalie Krauseなど掲載者は80名弱。Cristian OrdóñezさんとAbbey Meakerさんによるブックデザインも含めて、元々勉強目的でこの企画に興味があったので、本が出版される七月九月を楽しみに待ちたいと思います。この本は先行予約開始後三日間ですでにソールドアウト。掲載された写真とテキストは以下(Continue reading)に転載します。

 

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