Angels Point by Adam Ianniello

L.A. based artist Adam Ianniello Exhibition ‘Angels Point’
Curated by Takashi Kato (Ensemble Magazine)
Photobook ‘Angels Point‘ published by GOST Books

会期中、一度目の訪問のあと、キュレーターの加藤孝司さんから「アダムのことをいつ頃に知ったのですか?」というようなメッセージを頂き、「アダムさんが創設したSmog Pressを知ったときなので、一年くらい前だったと思います」とお答えしたように思うのだけれど、Brian McSwain氏の写真集がリリースされた頃なので、本当は二年前だったかもしれない。アダムさんに「もう一度、あなたの展示を見に行くかもしれない」と伝えたら、「カムオン、11月17日の最終日には日本にいるよ」とアダムさんから返答を頂いた。

Wildernessとアダムさんは言って、ある作品の前に立った。「これを見てほしい。奥の山と手前で子供たちがブランコで遊ぶ山は自然、その谷間に広がるのはHouses」。「ネイチャーとアーバン・スペース、ウィルダネスとアーティフィシャル、こっちにはエクスプレスウェイ」と僕は言った。「片側五車線だよ」とアダムさんは言った。Angels Pointから見渡す景色はHistory of Los Angelesなのだ。語学力の無さと筆談が良い気がして、僕はグーグル翻訳アプリに言葉を入力した。こうした公共空間での展示はとても良いと思う、日本はアートが日常には浸透していないように思うから。ロビーを見渡しながら深く頷いたアダムさんも翻訳アプリに言葉を打ち込んだ。屋外の公園で展示をしたことがある、それもすごくよかったんだよ。

 

商業コマーシャル以外で日本で公共空間を利用するには大規模アートイベントなどでなければ行政の許可が降りなかったり、国からの助成金が得られないなどの制約が色々あるのかもしれない。そうした中でテラススクエア・フォトのような東京のオフィスビルのエントランスを利用した展示企画はとてもユニークで、そのロビーを行き交う人々の背後に佇む展示作品を遠巻きに眺めながら、これはいいのだと思った。

ところで、と僕はiPadに古い写真を表示した。彼、誰かわかる? 首を捻ったアダムさんに僕はある音楽を流した。ワオ、トト!とアダムさんは言った。これは1999年、若い僕の隣にいるのはロサンゼルスのもうひとりのヒーロー、スティーヴ・ルカサーだよ。

Portrait: PLAUBEL makina 67 / ILFORD HP5 PLUS / Self-development: Fujifilm Microfine developer (20℃ 8’30”) + ILFORD Rapid Fixer. November 17 2023