Water Deity

Making a folding book | Water Deity (1’51”)

[EN] Black-winged damselflies live in places where there is clean water. Instead of hovering like dragonflies, they flutter as butterflies do. People call them kami no tsukai (“messengers from the divine”). Populations of these creatures, which are emblematic of areas with spring water like ours, are shrinking year by year, and in Tokyo they have been declared an endangered species. In Japan, dragonflies and damselflies, which only ever fly forwards, are nicknamed Kachimushi (“victory insects”) for their fortitude and seen as good luck symbols. In English-speaking countries, the name for the suborder of insects called tonbo in Japan is “dragonflies”, while the name for the suborder called itotonbo here is “damselflies”. A damsel is noblewoman or a maiden. Having very dark, jewel-like wings, the black-winged damselfly is also called the “ebony jewelwing”.

The design: I used coarse paper, as I wanted to give the impression of ink painting on aged hemp paper. Fifty copies of this folding book were created at the request of a local tourism association that organizes guided walks as part of its educational and cultural activities. For the benefit of participants in the event where the books are distributed, the information on the black-winged damselfly is printed on the reverse, allowing it to be read even when the paper is folded, and the illustrations showing how to fold the paper are positioned so as to be invisible after folding. This handmade book can also be displayed like a traditional East Asian folding screen.

B4 variant format 348 x 250mm
Folding book 58 x 125mm
16 pages, 12 photos (from the series Eden)
Pigment print on coarse paper
Edition of 50
Photographs, Illustration and Text by Masato Ninomiya
Translation by Michael Normoyle and Yoshiko Furuhashi at M&Y Translations, Rotherham, UK

 

*前回投稿は経緯、今回は折り本の説明です。英文の前半は別途納品する地元の羽黒蜻蛉に関するレポートに(ガイドウォークの参加者は今後日本人のみとは限らないことを想定して)併記したものです。

[JP] 羽黒蜻蛉(ハグロトンボ)は水の綺麗な場所に生息し、他の蜻蛉のようにホバリングをせず、蝶のようにひらひらと舞い、神の使いとも言われています。湧き水のある地元地域を象徴する生物です。しかし、年々生息数が減少しており、東京では絶滅危惧種とも言われています。日本では常に前向きに飛ぶ蜻蛉は不屈の精神を表す「勝ち虫」として縁起物とされますが、英語圏ではトンボ亜目をドラゴンフライ、イトトンボ亜目をダムセルフライと言います。ダムセルとは貴婦人あるいは乙女のこと。羽黒蜻蛉はBlack-winged damselflyと言い、漆黒の宝石のような翅、Ebony jewelwingとも呼ばれています。

デザイン: 古麻紙に描かれた墨絵のような風合いを出したかったので藁半紙を使用。学習・文化活動の一環でガイドウォーク(解説員と共に史跡や自然を巡るウォーキング・イベント)を主催する地元の観光協会からのご依頼で50部ほど制作した折り本のため、イベント参加者の方々が楽しめるように、裏面には羽黒蜻蛉の説明文を記載し、折り畳んだ状態でも読めるようにしました。折り方を描いたイラストは紙を折り畳むと見えなくなるように配置。この手作りの折り本は東アジアの伝統的な屏風のように立てて飾ることもできます。

 

wip: Handmade folding book


前にしか飛ばないトンボは勝ち虫として縁起物とされるけれど、羽黒蜻蛉(ハグロトンボ)の僕のイメージはちょっと違う。他のトンボのように素早く飛んだりヘリコプターのようなホバリングはしない。木陰の地面でじっと休み、ひらひらと舞い、神の使いとも言われ、水の綺麗な場所に生息する。そんな羽黒蜻蛉は地元自治会エリアを象徴する生物。関東大震災で軒並み井戸が枯れた際、この地区の湧き水が重宝されたという記録が残されている。僕は今年度から自治会協議委員を務めている。役員会議のあと、学習・文化活動に携わられている役員さんに呼び止められて羽黒蜻蛉のことを尋ねられた。僕が写真シリーズの一環として試作した折り本を地元の観光協会が主催するガイドウォークのイベント用に50部ほど提供してもらえないかとの相談だった。その制作費も支払われるという。

 

地元の羽黒蜻蛉は、雑木林の中に佇む小さな神社の境内に集まってくる。神社から坂を下った先には6月に蛍が舞う小川が流れている。僕は大地主の会計役員さんに尋ねた。「神社の崖下に『水の神様』が祀ってあると聞いたんですけど」。「うん、あるよ」と大地主さんは言った。「あそこ、昔はわさび畑があったからね」。副会長は言った。「わさびは今も採れる」。「わさび? じゃあ、綺麗な水辺の辻褄が合いますね」と僕は言った。すると前会長の自治会顧問が「でも今年の羽黒蜻蛉は数が少ないよ。東京で絶滅危惧種というのも頷けるね」と言った。別の協議委員さんは折り本を見て「これ素敵。パタパタパタって畳めるし、白黒がいいじゃない。翅が綺麗に映えるから」と言った。ガイドウォークの参加者の方々に自ら紙を折って頂くのも体験のひとつになるかもしれないし、折り本は屏風のように立てられるので、いっとき部屋にも飾れるかもしれない。生物も文化財も、時が経つと失われてしまうものがあると依頼主の役員さんは言っていた。ちょっとした制作物が一転して地元に貢献できるなら、これは嬉しい誤算と思えた。

 

The Wall

Handmade book: The Wall
A quarry providing stone for the walls of Edo Castle (now the Imperial Residence) 400 years ago.
Places: Cape Manazuru, Mount Hakone and Edo Castle
B5 variant format, 182 x 230 mm, 60 pages, 28 photos
A description of this photo series can be found here.

Cover: Mino washi paper in traditional Japanese colors glued onto cardboard
Body: Pigment print on Awa washi Inbe thin white paper 70 gsm, Mino washi paper and tracing paper
Binding: Japanese four-hole binding, white hemp yarn
Typeface: (alphanumeric) Minion, (kanji + kana / vertical text) Hiragino Mincho

Photographs, text and design by Masato Ninomiya ©︎ 2024
Translation of text on pp. 6 and 56 by Michael Normoyle and Yoshiko Furuhashi at M&Y Translations, Rotherham, UK

◼️ News
This book will be exhibited at the “People by TS. Photo” booth hosted by Takashi Kato-san and others from Terrace Square Photo at the 14th edition of TOKYO ART BOOK FAIR (TABF), to be held at the Museum of Contemporary Art Tokyo from November 28, 2024 to December 1, 2024. Please come and see the sample copy.

本書は11月28日(木)から12月1日(日)まで東京都現代美術館で開催される第14回TOKYO ART BOOK FAIR (TABF) にて、テラススクエア・フォト加藤孝司さんらによる「People by TS. Photo」ブースに出展させて頂けることになりました。見本をお手にとってご覧頂けます。よろしくお願いします。

 

“People by TS. Photo” booth at the MOT art museum

追記: ブースの片隅に手製本を置いてくださった加藤孝司さん並びにテラススクエア・フォトの方々に改めて感謝します。会場でお手にとって見て頂いた方々もありがとうございました。そして、会場での七年ぶりの再会にも感謝。/別のブースではニューヨーク在住ライター佐久間裕美子さんからSakumag Collectiveの本にサインとメッセージを頂きました。嬉しい。『ヒップな生活革命』を持っていけばよかった。

 

wip: Handmade book

Work in progress: Making a handmade book | The Wall (1’37”)

和製本チャレンジ。恥ずかしいけれどビデオは本の試作過程、本の全容は後日投稿します。徳川秀忠の江戸時代、江戸城の城壁に石材を供給していた神奈川県真鶴岬の採石場に関する写真シリーズ「The Wall」を江戸時代の製本スタイルのように和紙+四つ目綴じ(和綴じ)で自家製本しています。

デザイン: 表紙と裏表紙は着物の重ね着や重ね衿からヒントを得て、Less is moreやわびさびのような誇張しないアクセントのつもりで、日本の伝統色が施された美濃和紙をドイツ装のようにボール紙に貼り合わせています。白黒写真をプリントした用紙は阿波和紙。今回使用したのは展示などよりも製本に合いそうな、白すぎず非常に手触りの良い麻が漉き込まれているもの。江戸時代、江戸城の近くの八丁堀には阿波徳島藩の江戸屋敷があったそうで、徳川幕府は徳島藩に阿波和紙の産業化を命じたらしい。父の故郷は高松と徳島、母の故郷は東京下町(江戸城の城下町)、自分自身は東京出身の神奈川育ち。この本には間接的に自分のルーツを重ねつつ、江戸=徳川家の家紋のモチーフとなった日本固有種の双葉葵という植物の写真だけは、消えゆく絶滅危惧種なので、シルクスクリーン印刷ふうの加工を施して具象性を薄めています。

参考文献: 『配色事典 応用編』和田三造、『江戸 平安時代から家康の建設へ』齋藤慎一、小説『隅田川暮色』芝木好子