Research: Local spring water ♯01

This location, marked by a flowing stream, is the site of a sacred spring legend established by a monk in the Kamakura period. Located at the base of a cliff near a residential district, the water springs from the geological interface. Surprised by this discovery in my local area, I chose to print the work on traditional Japanese Washi paper (8×10” Awagami Murakumo Kozo Select White) as an experiment in layering legend with reality.

Side A
鎌倉時代、僧侶が念仏を唱えて杖をついたところから清泉が湧き出たという地元の霊泉伝説を辿った。足元に沢が流れるこの湧き水遺跡は、山奥ではなく住宅地のそばの崖下にあり、公園ではないので開かれた入口はない。このような場所は地権者の方々や関係者以外は立入禁止であることも少なくないらしい。東は東京都と接する市内の地形は、西の市境の川に向かって階段を下るように三つの段丘から成り、その地盤は強固で宅地化されているけれど、段丘崖(だんきゅうがい)の斜面の一部には荒地が残されている。関東ローム層と礫層(れきそう)の下から所々で地下水が湧き出ている。手つかずの自然を再現した博物館のジオラマのようなこの場所は、外界との境界を示すように至るところに倒木があり、底なし沼のような湿地に足をとられてしまう。容易に人が近づけない地質と、生命に必要な水の湧き出る様子が伝説を生み、神仏を祀る根拠となったのだろうし、あるいはそうすることで結界を張るように聖域から庶民を遠ざけたのかもしれない。

*湧き水リサーチは、清水に生息する羽黒蜻蛉(ハグロトンボ)の折り本制作から始めたもの。(写真上)現在もこの湧き水から下流の集落の用水路へ簡易水道が引かれているので人工的なパイプが目に入る。

 

My interest in hydrology began with US and Canada based Another Earth’s 2023 open call, ‘What Makes a Lake? Tracing Movement‘. This experience has significantly shaped my current research on local springs—sacred, lesser-known sites steeped in ancient legends. 久々に楮紙(徳島県の無形文化財・阿波和紙)にプリント。裏面から光が透過する。

Side B
見上げれば、逆光を浴びた木々の間から建造物のシルエットが見える。野鳥の囀りと崖上の人たちの会話が頭上から降ってくる。ドローンを飛ばして衛星写真のように真上から眺めたら、きっと大地が細長い△型にひび割れていて、その底を自分ひとりが彷徨っているように見えるだろう。一枚目の写真は歩いてきたルートを振り返ったところで、背中側が△の先端の湧き水の流出口だと思った。けれど、目当ての石碑が見つからなかった。後日、観光協会の下部組織・地域遺産を未来につなぐ会の定例会議の場で、市の文化財調査普及員を兼任されている副会長と理事に写真をお見せしたら「もっと奥」と言われて驚いた。行き止まりに思えたし、それ以上は怖いと思った。再び現地に赴いて、道なき道を進んで、目当ての石碑に辿り着いた。その脇に湧き水の流出口があった。「今度、そこの拓本をとりに行こうか」と副会長が言った。郷土資料化のためにも「とっておきたいですよね」と僕は頷いた。将来、地下水が枯渇したり、この場所が開墾されたとき、石碑が残されるかどうかはわからないのだ。

拓本: 美術のフロッタージュと同様な技法で石碑や歌碑を写しとったもの。所有者(お寺や自治体)の承諾が必要。

 

#Hydrology #Animism
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