
They say this small bird, only a few months from birth, cannot see yet.
生後数ヶ月のこの鳥はまだ目が見えないのだという。
“Darkest before dawn(夜明け前が最も暗い)”、数年前、確かドイツでそんなようなテーマの公募があった。
逆立ちするような格好で木にぶら下がる白い鳥のような生物。一昨年だったか、日本のコマーシャル写真家の女性がそんな動画をインスタグラムのストーリーズに投稿したことがあった。画面越しにそれを見た僕はある種の暗号通信みたいに、アメリカ・ミネアポリス拠点のビジュアルアーティスト、ポーラ・マッカートニーさんの『Bird Watching』という写真集をストーリーズに投稿した。すると、僕の暗号は思わぬところでキャッチされたようで、その数ヶ月前に新婚旅行で来日していたニューヨークの女性写真家が、日本滞在時に描いた鳥の水彩画に「Japanese birds」と言葉を添えてストーリーズに投稿した。同時に、スロヴァキア出身でロンドン芸術大学卒のドキュメンタリー写真家の女性が、ドナウ川の河川敷に集う野鳥の群れをストーリーズに投稿した。すると、ベルギーの女性写真家が、生足にサンダル、黒のミニのワンピース姿で屋外のベンチに腰掛け、組んだ脚の上に緑色に輝く鳥の羽を一枚置いてストーリーズに投稿した。まるで「鳥」というキーで即興のソロ回し(演奏)をするようなビジュアルコミュニケーションが束の間ぐるっと地球を回った。気のせいかもしれないけれど。

Left: Hatsune Suzuki / Right: ‘Bird Watching’ Paula McCartney. Placed near the book is a sustainable castanet made from forest-thinning scraps that would normally be discarded. Hatsune’s spontaneous drawing of a bird was laser-printed onto the zelkova top. Hatsune-san (@hatsune_suzuki_works) is one of the featured artists at the international art festival Gero Art Discovery 2026.
野鳥調査のフィールドワークで森に入り、出会った鳥や植物を図鑑のように記録したポーラ・マッカートニーさんの『Bird Watching』は、実はフィクション (fake) である、ということを先述の海外写真家アーティストたちは皆知っている。多種多様な架空の鳥が登場するその写真集は、ユーモアを交えたファンタジーかもしれないし 、フェイクグリーンのように人間はそれでも癒されるのかという実験かもしれない。あるいは、鳥の彫刻作品のインスタレーションかもしれないし、人間による環境破壊が続いたら、この先、本物の鳥は見られなくなりますよという皮肉や警告なのかもしれない。鈴木初音さんにそんな『Bird Watching』をお見せした日、何かここに描いてくれませんか… と紙をお渡ししたら、それを何に使うのかよくご存知の初音さんはスルスルとペンを走らせて、ものの数秒で無地の紙に鳥を描いた。そうして生まれた初音さんの鳥をスキャンして、小さな木片にレーザーで転写した。森を間伐した際に、通常ならば捨てられてしまう端材で作ったサスティナブルなカスタネットに。
鈴木初音さん 国際芸術祭下呂Art Discovery 2026 招待作家
#SDGs #sustainability