in Takamatsu

『香川県高松市で写真展します』
自宅のポストに届いていたDMには、手書きでそう書かれていました。京都を拠点に活動されている写真家・小檜山貴裕さんが「せとうち」を撮り下ろし、高松で個展を開かれると知ってびっくりしました。高松は父の出身地。中学三年生までの毎年の夏、瀬戸内海に橋がなかった当時、両親と神戸からフェリーに乗って四国へ渡り、高松の従兄の家で過ごしました。以降30年間、高松とは疎遠になっていたのもあり、なにより、こひやまさんの個展は7年前の『演出写真こーかい劇場』@京都ハロー画廊以来。久しぶりの高松へどうしても行きたいと思ったのです。

 

高速とフェリーで片道650km。10 hours trip。「美味しいお味噌汁を出してくれるお店があるので」と高松に到着した日、こひやまさんが瓦町まで晩ご飯に連れて行ってくれました。そんな中、エピソードをたくさんお聞きしました。こひやまさんが感じた「せとうち」とは。大判8×10の機材を担いで小島の数々へと船で渡り、そこで出会った人達とふれあい、知り得た各々の島での営み。ギャラリーの片隅にポツンと置いていた「クスノキ」の写真は、その行程で触れた「おまもり」なのだと思います。ポートレート、風景、スナップを織り交ぜた今回のドキュメンタリーは、こひやまさんらしくブワッとストーリーが押し寄せてくる、とても美しいシリーズでした。

 

会期中、京都拠点のこひやまさんが高松に留まり、毎日在廊されていたのは「遠い人にも、みんなに案内を送っちゃったから」と、そして実際みなさん大阪や九州からもフェリーに乗って観賞に訪れていましたけれど、僕はそれだけじゃないように思います。キーは今回も「らしい」タイトル、see inside。今回の撮り下ろしシリーズの制作行程、その期間にこひやまさんが触れたもの。きっと、こひやまさん自身が「せとうち」から離れたくなかったんじゃないでしょうか。だからきっと『see inside the inland sea』は今後も続いていくんじゃないのかなって思います。「せとうち」でふれあった人達との縁、島々での光景や抱いた感情。写真家だからそれらを写真で表現/記録する。その中で、その土地や人々に愛着も生まれる。いつかきっと、続編なのか、印刷/出版物なのか、エッセイなのか、このシリーズの何らかが、 またリリースされることを楽しみに願っています。

 

最後に、8×10と6×7、それぞれのプリントで僅かに色味が異なっていたのですが、6×7判はこひやまさんご自身による手焼きプリント(とてつもなく美しかった)、若干シアンが足されていた8×10はラボ焼きとのことでした。印画紙の話もお聞きしました。厚みの違い、フジのペーパーを使うときのカラーフィルターの設定など。当初はすべて8×10のコンタクトプリントでの展示を考えられていたそうで、そのポートフォリオも見させて頂きました。そして、僕のプラウベルマキナはこひやまさんから受け継いだもの、今回7年ぶりに前オーナーと対面。訪問した2日間、ご友人やお知り合いの方々が次々と来られる中、お邪魔だった部分も少なからずあったと思います。7年ぶりの楽しい時間を本当にありがとうございました。いつかまた、京都や関東でもお会いできることを願いつつ。

 

Kohiyama Takahiro photography exhibition “see inside the inland sea” | BOOK MARUTE Gallery
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BOOK MARUTE Gallery | 北浜alley@高松 | Aug.28.2016